臨床統計
成人麻疹14例の臨床的検討
著者:
瀧澤一1
宮崎貴子1
大西誉光1
渡辺晋一1
所属機関:
1帝京大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.403 - P.406
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2000年5月から2001年2月に経験した麻疹14例にっいて検討した.年齢は15〜32歳に分布し,平均は21歳で,男女比は5:9であった.予防接種歴は2例にあり,11例にはなく,残り1例は不明であった.既往のある2例の初診時の麻疹抗体価は低値でvaccine failureと考えられた.臨床症状では,全例に発熱がみられたが,二峰性の発熱は5例のみであった.11例に口腔粘膜疹がみられ,典型的なKoplik斑は7例で,うち1例は上口蓋に点状出血斑もみられた.他の4例ではアフタ様の白色びらん面または帽針頭大の紅色小丘疹がみられた.臨床検査では4,000/μl以下の白血球減少が7例に,10×104/μl以下の血小板減少が5例にみられ,全例に異型リンパ球が出現し,3例では10%以上に増大していた.ASTまたはALTの250IU/l以上の上昇が4例にみられ,AST,ALTの平均値は各々135IU/lと160IU/lであった.麻疹の肝障害の頻度は低くなく,比較的高度なAST,ALTの上昇がみられることに注意を払う必要があると考えられた.