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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科56巻6号

2002年05月発行

文献概要

症例報告

生検が早期確定診断に有効であった麻疹の1例

著者: 杉山美紀子1 池田祐輔1 馬場利容1 末木博彦1 飯島正文1

所属機関: 1昭和大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.407 - P.409

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 28歳,男性.麻疹の既往,予防接種歴はない.初診12日前より感冒様症状が出現し,市販の感冒薬を内服した.いったん解熱後,4日前に再び38℃の発熱とともに皮疹が出現した.皮疹はほぼ全身に浮腫性の紅斑が多発し,融合傾向がみられ,一部では丘疹や漿液性丘疹が認められた.麻疹またはStevens-Johnson症候群を疑い,即日入院のうえ,生検を施行した.凍結切片を用いた迅速病理標本にて,表皮内に核内封入体を持つ多核の表皮細胞が認められたことより麻疹を強く疑った.後日,蛍光抗体間接法にて表皮内に麻疹ウイルス抗原の局在が認められたことや,ペア血清により麻疹ウイルス抗体価の有意な上昇が確認され,確定診断した.麻疹と重症薬疹との緊急な鑑別が必要な場合には,迅速病理診断法は試みてもよい検査法の1つであると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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