icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科56巻6号

2002年05月発行

文献概要

症例報告

大腿に発生したtumoral calcinosisの1例

著者: 速水真理子1 速水誠2

所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科臨床医科学専攻生殖発達医学皮膚科学教室 2速水皮膚科

ページ範囲:P.453 - P.456

文献購入ページに移動
 Tumoral calcinosis(TC)は大関節周囲の皮下に比較的大型の石灰沈着をきたす疾患で黒人に好発する.世界には200例以上の報告があるが,わが国には少なく,皮膚料領域からの報告はさらに少数にとどまっている.本症の疾患概念には混乱がみられ,Harkess & Peters, Touartらにより提唱された定義に合致しない多数の症例も本症として報告され,その独立性に疑問が投げかけられている.
 筆者らは30歳,女性の大腿皮下に認められたTCに根治手術を行い,機能的,整容的に極めて満足すべき結果を得ることができたので報告する.あわせて行った若干の文献考察では,本症は発生病理の異なるグループからなり,臨床像,摘出腫瘤外観および予後に大きな差がみられるが,X線像,組織像には共通所見が存在した.筆者らはこの所見を本症を独立疾患として扱うのに十分な根拠と考え,TCは「原因にかかわりなく蜂巣状構造の線維性隔壁を伴う皮下の大型石灰沈着」との定義を提唱したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?