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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科56巻7号

2002年06月発行

文献概要

症例報告

紫斑,肺胞出血を伴ったP-ANCA陽性の全身性強皮症

著者: 南満芳1 荒瀬誠治1 岡信晃2 白神実2 曽根三郎2

所属機関: 1徳島大学医学部皮膚科学教室 2徳島大学医学部第3内科学教室

ページ範囲:P.507 - P.510

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 66歳,女性.Raynaud症状,手指硬化,肺病変を呈する全身性強皮症(SSc)の経過中に原因不明の熱発を伴うようになった.検査所見では赤沈が著明に促進し,RF 563IU/ml,抗核抗体320倍,抗Scl−704倍,P-ANCA 258EU/mlと陽性を示した.入院2週間後に突然下腿に紫斑が出現し,病理組織学的にはleukocytoclastic vasculitisの像を示した.紫斑出現から約1か月して肺胞出血をきたし,この時点でSScに顕微鏡的多発血管炎を合併したものと考え,ステロイドパルス療法,血漿交換療法を施行した.P-ANCAの値は71EU/mlまで低下し,臨床症状も改善傾向にあったが,入院後2か月目に脳出血を合併し死亡した.P-ANCA陽性SSc患者における紫斑の出現は重篤な内臓病変の前兆としてとらえる必要があると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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