臨床統計
悪性血管内皮細胞腫8例の臨床的検討
著者:
青島有美1
影山葉月1
藤田弘2
柳生理映子3
小西紀子4
東芝輝臣5
水島八重子6
鈴木牧7
高城倫子7
津嶋友央7
伊藤泰介7
戸倉新樹8
所属機関:
1磐田市立総合病院皮膚科
2国立東静病院皮膚科
3市立島田市民病院皮膚科
4市立静岡病院皮膚科
5藤枝市立総合病院皮膚科
6富士宮市立病院皮膚科
7焼津市立総合病院皮膚科
8浜松医科大学皮膚科学教室
ページ範囲:P.585 - P.589
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浜松医科大学皮膚科では1992〜1999年に8例の悪性血管内皮細胞腫症例を経験した.8例中7例が女性で,初診時の平均年齢は75±11歳,平均罹病期間は5か月であった.6例に打撲の既往が確認され,4例で瘙痒などの自覚症状がみられた.臨床病型では5例が斑状病変と結節とを示した.皮疹の面積は5〜220cm2であった.治療として全例にIL−2局注(平均総量18×106U)と局所電子線照射とを行った.さらに4例ではIL−2の静脈内投与,1例では動脈内投与も施行した.3例ではイリジウム線の全頭部照射も行った.転帰として1例は生存中,3例が腫瘍死,4例が他疾患で亡くなっていた.過去5年間の本邦報告例との比較では,Kaplan-Meier法による生存率に有意差は認めなかった.症例によりIL−2に対する反応性が異なる要因として,病理組織像の違いが示唆された.