icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科56巻9号

2002年08月発行

症例報告

著明な色素沈着を残した塩酸チクロピジン(パナルジン®)による苔癬型薬疹の1例—固定薬疹との比較

著者: 勝田倫江1 寺木祐一1 塩原哲夫1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.739 - P.742

文献概要

 74歳,男性.臨床的特徴は紅斑消退後に境界明瞭な色素沈着を認め,原因薬剤の再投与によりその色素斑に一致して紅斑が誘発された点である.固定薬疹との臨床的類似性に基づき,自験例と典型的固定薬疹の色素沈着部に浸潤している細胞を免疫組織学的に比較した.自験例の表皮内にはT細胞をあまり認めなかったが,真皮内には多数のT細胞の浸潤を認めた.一方,固定薬疹では表皮内にT細胞を多数認めたが,真皮内にはT細胞は比較的少なかった.従来両疾患は異なったスペクトラムの薬疹と考えられてきたが,両疾患の差は表皮と真皮に存在するエフェクターT細胞の分布の割合を反映しているのではないかと推察した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら