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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科57巻1号

2003年01月発行

文献概要

今月の症例

カエンタケ中毒の1例

著者: 石川博康1 熊野高行1 鈴木昌幸2 熊谷裕昭3

所属機関: 1山形県立中央病院皮膚科 2山形県立中央病院内科 3山形県立中央病院血液内科

ページ範囲:P.17 - P.21

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 62歳,男性.食用のベニナギナタタケと間違ってカエンタケを誤食したところ,嘔吐,腹痛,水様下痢などの消化器症状に引き続き,翌日には全身の潮紅とともにショック症状が出現した.大量補液と人工透析の併用により,ようやく循環動態の改善をみたが,1週後には骨髄抑制による白血球および血小板の減少を認めた.経過中,顔面の発赤腫脹や難治性口内炎,回復期での掌蹠の膜様落屑と脱毛などきわめて特異的な皮膚粘膜症状を呈した.カエンタケの毒素成分は長年不詳であったが,mycotoxinとして有名なtrichothecene類であることが昨年解明された.カエンタケ中毒は本邦で6件発症し,患者10例中2例が死亡している.救命にはキノコの十分な鑑別と初期医療での大量補液が重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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