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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科57巻1号

2003年01月発行

文献概要

症例報告

ノルウェー疥癬の診断を契機にみつかったATLの1例

著者: 安藤典子1 相川未枝1 長田厚1 北嶋敏之1 島田眞路1

所属機関: 1山梨医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.87 - P.89

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 52歳,男性.半年前より陰部に鱗屑性紅斑が出現.しだいに顔面を除く全身に拡大したため,当科を紹介受診した.胸部,腹部,背部,両四肢に厚い黄褐色鱗屑の付着を認めた.外耳孔にも鱗屑の付着を認めた.そう痒は軽度であった.鱗屑のKOH鏡検を行ったところ,多数の疥癬虫体,および虫卵を認めたため,ノルウェー疥癬と診断.末梢血白血球は17,370/μlで,好酸球37%,異型リンパ球24%であった.末梢血中に花弁状核を持つ細胞が存在した.HTLV-1抗体価は256倍であり,異型リンパ球のDNA内にHTLV-1プロウイルスのモノクローナルな増殖を認めたためATLと診断した.皮膚生検にて角層内に多数の疥癬虫体,虫卵,疥癬トンネル,真皮浅層には好酸球を含むリンパ球浸潤を認めた.リンパ球に異型性は認めなかった.安息香酸ベンジルアルコールとオイラックス(R)軟膏外用にて,約4週間で皮疹は消失した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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