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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科57巻10号

2003年09月発行

文献概要

原著

広範囲に皮疹を認めたlivedoid vasculopathyの1例―自験例のまとめと本症についての一考察

著者: 倉田ふみ1 石黒直子1 石橋睦子1 川島眞1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.855 - P.860

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 34歳,男性.初診時,四肢,胸腹部と広範囲に,軽度浸潤を触れる類円形もしくは折れ曲がった線状の紅褐色斑を認め,足の内側では網状を呈していた.病理組織学的には真皮中層の小血管の閉塞像を認めた.抗核抗体陰性,BFPはなく,抗カルジオリピンIgG抗体,ループスアンチコアグラントの上昇も認めなかった.β-トロンボグロブリン,血小板第4因子の軽度上昇を認め,血小板の血栓形成能の活性化がみられた.頭部MRIは異常なし.アスピリン81mg/日の内服を開始し,皮疹は7か月後には浸潤を触れなくなった.Livedoid vasculopathyと診断した自験12例のうち,6例では明らかなリベドはなく,紫斑,潰瘍を主症状とした.検査を施行した4例全例で血小板の活性化を認め,症状の軽快とともに低下した.経過の明らかな7例中5例では,血管拡張療法や抗凝固療法のみで軽快を認めた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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