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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科57巻10号

2003年09月発行

文献概要

今月の症例

妊婦の乳房に生じた悪性黒色腫の1例

著者: 谷岡未樹1 鈴木利栄子1 岸川智子1 藤井秀孝1 立花隆夫1 宮地良樹1

所属機関: 1京都大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.861 - P.864

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 33歳,女性.初診時,第2子妊娠18週6日.3か月前頃より右乳房内側の黒色斑が急速に増大してきた.全摘生検の結果は表在拡大型悪性黒色腫(SSM:tumor thickness2.1mm,びらんなし)であったが,右腋窩より採取したセンチネルリンパ節生検では転移を認めた.そのため,化学療法に加えて,早急な拡大切除および右腋窩リンパ節郭清が必要と考えられた.児のintact survivalが期待できる妊娠30週頃まで待機すると母体の生命予後が悪くなることを患者および家族に十分説明し,同意を得た後に人工妊娠中絶を行った.画像検索等による全身検索では遠隔転移を認めなかったので,SSM(stageⅢ:pT3aN1M0,UICC1997,stageⅢA:pT3aN1aM0,AJCC/UICC2002)と診断した.局所の拡大切除,右腋窩リンパ節郭清を施行した後に,DAV-feron療法を6クール行った.術後1年経過した現在まで再発・転移を認めていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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