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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科57巻11号

2003年10月発行

文献概要

治療

タクロリムス軟膏が奏効した尋常性白斑の2例

著者: 岩垣正人1 河野由美子1 平田靖彦1

所属機関: 1国立高知病院皮膚科

ページ範囲:P.1030 - P.1032

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 症例1は48歳,男性.症例2は51歳,男性.ともに顔面の脱色素斑に対してタクロリムス軟膏の外用を行い,良好な色素再生を認めた.尋常性白斑の治療としては一般にステロイド外用やPUVA療法などが行われるが,難治例も多い.表皮移植などの外科的治療も有効であるが,ある程度患者への侵襲があり,手技が煩雑である.タクロリムス軟膏外用は簡便かつ安価で,患者に侵襲の少ない治療法であるといえる.尋常性白斑の原因としては,自己免疫説が広く受け入れられている.メラノサイトにおいてICAM-1などの抗原発現が増強し,好中球やT cellなどの免疫系細胞の反応が惹起され,その結果メラノサイトが破壊され白斑が生じるという機序である.本例でタクロリムス軟膏が奏功した機序は,T cellのサイトカイン産生抑制機能によるものと考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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