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症例報告
文献概要
7歳,女性.出生時より存在した頭頂部の色素斑が,3~4か月前よりびらん・痂皮を形成するようになった.組織学的に複合母斑の構築を呈していたが,表皮真皮境界部に明らかに大きな細胞質と異型の核を有する淡明な細胞を認め,核分裂像を伴っていた.真皮内の母斑細胞にも一部でクロマチンの豊富な核を呈する集団があったが,明らかな細胞異型や核分裂像などは認めなかった.免疫組織化学的には,これらの細胞群はいずれもS-100蛋白,HMB-45に陽性を示したため,先天性色素性母斑の悪性化と診断した.10歳未満の小児の悪性黒色腫は比較的少なく,そのなかでも頭部の小型の先天性色素性母斑から発症する例は稀であるが,悪性黒色腫の前駆病変として注意が必要である.
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