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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科57巻13号

2003年12月発行

今月の症例

ゲフィチニブ(イレッサ(R))による薬疹の1例

著者: 武藤潤1 鈴木布衣子1 木花いづみ1 阿部健二2

所属機関: 1平塚市民病院 2平塚市民病院内科

ページ範囲:P.1155 - P.1157

文献概要

 73歳,女性.肺癌(扁平上皮癌・StageⅢb)にてゲフィチニブ(イレッサ(R))250mgを内服開始.10日後に下痢と毛囊炎様の皮疹が出現するも一時軽快.その後2か月後から皮疹の増悪とともに膀胱炎症状,肝機能障害を認めたため同剤の内服を中止.悪化時,ほぼ全身の皮膚は乾燥症状を呈し,毛孔一致性の小丘疹や膿疱,びらん,痂皮を混じた暗赤色紅斑が上肢,頸部で多発し融合していた.病理組織学的に角層下膿瘍を伴い,不全角化やexocytosisを認めた.また,真皮では毛囊は萎縮し周囲にリンパ球,好中球の浸潤を認めた.ミノマイシンの内服やトレチノイン軟膏を外用し,皮疹は乾燥症状を残して軽快した.ゲフィチニブのパッチテストおよびDLSTは陰性であった.ゲフィチニブは上皮成長因子受容体(EGFR)のチロシンキナーゼ阻害剤であり,薬疹の機序としてEGFRへの直接的な関与が考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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