原著
骨髄性プロトポルフィリン症―父子例の検討
著者:
上田周1
檜垣祐子1
川島眞1
近藤雅雄2
所属機関:
1東京女子医科大学皮膚科学教室
2国立公衆衛生院栄養生化学部
ページ範囲:P.112 - P.116
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症例1:12歳,男子.6歳頃より日光曝露部に疼痛と腫脹を生じるようになった.初診の前日,旅行中に両手背に疼痛,腫脹が出現したため当科を受診.症例2:46歳,男性(症例1の父).6歳頃より光線過敏症があり,最近では遮光に努めているため,自覚症状は認めない.2例ともUVB照射にて最小紅斑量は正常範囲内,UVAでは異常反応は認めなかった.プロジェクターランプ照射にて疼痛を伴った紫紅色斑が誘発された.赤血球中プロトポルフィリン値は,症例1で1,741.8μg/dl,症例2で2,451.5μg/dlと著増していた.さらに,尿中コプロポルフィリン値が症例1は74.2μg/dl,症例2は51.3μg/dlと増加しており,肝障害を伴った骨髄性プロトポルフィリン症と診断した.家系内調査を施行したところ,症例2の母と従兄弟に赤血球中プロトポルフィリン高値を認めたが,臨床症状としての光線過敏症は明らかではなかったことから,この2例を骨髄性プロトポルフィリン症キャリアと診断した.