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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科57巻2号

2003年02月発行

文献概要

症例報告

頚部基部に生じたmalignant proliferating trichilemmal tumorの1例

著者: 鬼頭由紀子1 松本賢太郎1 青島有美2 津嶋友央1 伊藤泰介1 橋爪秀夫1 戸倉新樹1

所属機関: 1浜松医科大学皮膚科学教室 2国立東静病院皮膚科

ページ範囲:P.189 - P.191

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 52歳,男性.2001年4月,右頚部下部に結節性病変が出現し,放置しておいたところ5月30日には4.5×3.5×2.5cmの腫瘤となった.6月,近医にて部分摘出され,上皮系悪性腫瘍が疑われた.残存病変が増大したため,当科紹介受診となった.摘出標本組織像では,真皮から皮下脂肪組織に浸潤する腫瘍細胞が,分葉状あるいは柵状の胞巣を形成していた.胞巣の辺縁は基底細胞様の暗色調細胞,中心部は細胞質の明調な細胞より構成されていた.腫瘍細胞は大小不同で核異型が強く,胞巣の中心部には外毛根鞘性角化を認めた.免疫組織化学的に腫瘍細胞はサイトケラチン(CK)10,CK19,インボルクリンが陽性で外毛根鞘への分化が認められ,malignant proliferating trichilemmal tumorと診断した.頚部CT,頚部MRIにて腫瘍は僧帽筋さらには内頚静脈付近にまで浸潤していた.手術適応はなく,ドセタキセル投与と放射線照射にて加療した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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