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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科57巻4号

2003年04月発行

文献概要

症例報告

多発性Bowen病の1例

著者: 吉田雄一12 江口哲1 桐生美麿2 松田哲男1

所属機関: 1国家公務員共済組合連合会浜の町病院皮膚科 2福岡大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.396 - P.398

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 63歳,女性.初診の5年前より左頚部に紅色皮疹が出現し,その後,徐々に増大したため当院を受診した.初診時には鱗屑を伴う径3×2cm大の紅褐色局面を認めた.さらに詳しく診察を行ったところ,背部,胸部,両下肢にも同様の淡紅色皮疹を計8個認めた.皮疹は一見,脂漏性角化症,もしくは老人性色素斑を思わせたが,病理組織学的にいずれもBowen病であった.全身検索も同時に施行したが,内臓悪性腫瘍の合併は認められなかった.既往歴として梅毒治療歴など砒素剤による治療歴は確認できなかったが,家族歴として父と長兄,次兄,姉がすべて肝癌で死亡しており,また長兄にもBowen病の既往があり,生活歴として7~26歳まで大分県内で約20年間使用した井戸水(飲料水)が砒素により汚染されていた可能性が多発性Bowen病の原因として推測された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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