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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科57巻5号

2003年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス2003 Clinical Dermatology 2003 1.最近話題の皮膚疾患

Striaelike epidermal distension―下肢の急激な浮腫に伴って出現する皮膚症状

著者: 石黒直子1 川島眞1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.22 - P.27

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 短時間に起こる急激な浮腫に伴って下肢に生じる特異な皮膚症状を紹介し,解説した.1999年以降に同様の皮膚症状を呈する症例を4例経験し,2例は重度の神経性食思不振症を,残り2例は末期癌を基盤とした低栄養状態を認め,下腿,足背の浮腫の強い部分に皮膚の伸展方向とは垂直に生じる紅色ないしは紅褐色の線状皮疹を認めた.一部の皮疹は隆起性で,1例では水疱や潰瘍形成を伴っていた.生検を施行した2例の病理組織像では表皮の上1/2~全層の変性,壊死があり,表皮内へのリンパ球や好中球の侵入像,一部の真皮血管壁の腫脹や変性,血管周囲性にリンパ球や好中球などと赤血球の血管外漏出像を認めた.水疱は表皮内水疱を呈していた.elastica van Gieson染色では真皮の線維には異常はなく,蛍光抗体直接法では1例で表皮基底膜の一部にフィブリノーゲンの沈着を認めた.線状皮疹は浮腫が改善するとともに,約1か月後には色素沈着を残し軽快した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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