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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科58巻13号

2004年12月発行

文献概要

症例報告

甲状腺癌を合併した低悪性度脂腺癌の1例

著者: 林昌浩1 石澤俊幸1 鈴木真彦2 安齋眞一3 三原一郎4

所属機関: 1山形県立日本海病院皮膚科 2山形県立日本海病院外科 3秋田大学医学部感覚器学講座皮膚科学・形成外科学分野 4三原皮膚科

ページ範囲:P.1187 - P.1190

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80歳,女性.約20年前より存在し,3か月前から急に増大してきた腫瘍のため当科を受診.初診時左下顎部に径18mm,黄色痂皮を付着し紅色で易出血性の有茎性腫瘤を認めた.組織学的に,真皮内に小葉状に増生する比較的境界明瞭な腫瘍巣があり,構成する細胞は好塩基性細胞が主体でところどころに泡沫状細胞を混じ,核異型・核分裂像を示していた.泡沫状細胞はズダンⅢ染色陽性であった.以上より低悪性度脂腺癌と診断した.全身検索にて甲状腺腫瘍を指摘され,切除したところ濾胞癌であった.低悪性度脂腺癌は近年提唱された概念である.また,Muir-Torre症候群に生じる脂腺腫瘍は自験例のような低悪性度脂腺癌の組織像を呈することが少なくないため,内臓悪性腫瘍についても今後も留意して検索・経過観察する必要があると考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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