文献詳細
症例報告
文献概要
38歳,男性.2002年2月27日夕,仕事中に容器から吹き出した濃硝酸を顔・頚・左手に浴び受傷.その後ただちに当院救急外来を受診した.受傷後ほとんど洗浄せずに来院したため,流水で約40分間洗浄し,当初ステロイド軟膏単独の密封療法およびステロイド軟膏と亜鉛華単軟膏を併用する重層外用療法を行った.2日後に受傷部の広い範囲でびらん・潰瘍となったため,ステロイド軟膏単純塗布とびらん・潰瘍部への亜鉛華単軟膏の外用へと治療を変更した.約3か月で受傷部はほぼ上皮化したが色素沈着と両眼瞼の瘢痕拘縮が残った.本症例を通して化学熱傷の予防と受傷後の応急処置,そしてその啓発について文献的に考察した.
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