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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科58巻2号

2004年02月発行

文献概要

連載

米国皮膚科医への道(11)

著者: 藤田真由美1

所属機関: 1コロラド大学皮膚科

ページ範囲:P.186 - P.187

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皮膚科外来(Dermatology Clinic)

 レジデント教育は医師養成学校のようなものなので,週2回の講義以外は実践教育が行われる.これは,外来とコンサルトを中心とし,時に当直が加わる.そのいずれにおいても,レジデントは実践教育を受けるために存在するという大前提がある.

 皮膚科レジデントの主要な仕事と教育は外来診療であるが,アメリカの外来診療自体,日本のそれと異なるところが大きい.まずは,診察室.日本では医者の診察室に患者さんが入っていくが,アメリカでは反対である.外来には8~10畳の診察室が複数あり(大学病院では皮膚内科だけで10数部屋),患者さんは自分の診察時間が近づくと大きな待合室から個室に案内され,そこで医師を待つ.医師は各部屋から各部屋へと患者を診て回ることになるために,足の怪我などをしたりすると悲惨である.アメリカでは,看護婦や看護士さんは注射,傷の手当て,薬局との応対,電話相談などをしており,医師の診察の補助にはついてこないため,医師は個室で患者さんと1対1の診察をすることになる.アメリカで医者にかかった経験の乏しい外国人の私には,重症の入院患者ではなく比較的健康な皮膚病患者さんたちを相手に,異国のシステムで,しかも英語で,一体どうしたらスムーズに診察を進めたらよいのか,初めのうちは皆目検討がつかず,指導医やほかのレジデントの会話をメモして覚えていった.肝心の病気の説明の時はメモしないのに,世間話になるとメモしているので,皆から変なレジデントと思われたに違いない.また,入局当初にもらったレジデントの心得のなかに面白いことが書いてあった.「患者さんに礼儀正しく,誠意を持って診察すること」と併記して,「診察室では,患者さんよりも常にドア側に位置すること」と明記してあった.確かに,これは,医師と患者とはいえ,他人が密室にいる時のアメリカでの常識であるが,比較的安全な日本から来た私には,目新しい心得であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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