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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科58巻3号

2004年03月発行

文献概要

臨床研究

天疱瘡における抗デスモグレイン抗体価の再上昇と臨床症状の再燃の関連性についての検討

著者: 岸本和裕1 金子史男2

所属機関: 1竹田そう合病院皮膚科 2福島県立医科大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.277 - P.282

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福島医大皮膚科において最近14年間に経験した天疱瘡患者44例(粘膜優位型尋常性天疱瘡 PV-M:7例,粘膜皮膚型尋常性天疱瘡 PV-MC:17例,落葉状天疱瘡 PF:20例)のうち臨床的に活動期→軽快→再燃という一連の変化をとった6例(PV-M:5例,PF:1例)について抗Dsg抗体価を測定し,再燃時の抗体価を活動期および軽快期の抗体価と比較検討した.150以上の高抗体価を示す症例では,至適血清希釈倍率および真の抗体価を求めたうえで解析した.その結果,1) 臨床症状の変化と抗体価の変動には強い相関が認められた(皮膚症状とDsg1スコア,口腔粘膜症状とDsg3スコア).2) 再燃時の抗体価を活動期と比較したところ,活動期の抗体価を100%とすると,7~82%まで再上昇した後に症状が再燃することがわかった.10%前後の再上昇でも再燃する例が散見されるため,注意が必要である.しかし,最高でも82%の再上昇前には症状が再燃するため,その前に対応可能と思われる.3) 再燃時の抗体価を軽快期と比較したところ,1.55~9.59倍の再上昇で再燃しており,少なくとも1.55倍以上抗体価が上昇しないと症状が再燃しないことが判明した.以上より,定期的に抗Dsg抗体価を測定することに加え,活動期および軽快期の抗体価と比較検討することにより,再燃の早期予測の精度が向上するものと考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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