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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科58巻4号

2004年04月発行

臨床統計

AD Forum:世界のオピニオンリーダーを対象としたアトピー性皮膚炎の調査結果

著者: 瀧川雅浩1 川島眞2 古江増隆3 飯塚一4 伊藤雅章5 中川秀己6 塩原哲夫7 島田眞路8 竹原和彦9 宮地良樹10 古川福実11 岩月啓氏12 橋本公二13 片山一朗14

所属機関: 1浜松医科大学皮膚科学教室 2東京女子医科大学皮膚科学教室 3九州大学大学院医学研究院皮膚科学 4旭川医科大学皮膚科学教室 5新潟大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野 6自治医科大学皮膚科学教室 7杏林大学医学部皮膚科学教室 8山梨大学医学部皮膚科学教室 9金沢大学大学院医学系研究科皮膚科学 10京都大学大学院医学研究科学皮膚科学 11和歌山県立医科大学皮膚科学教室 12岡山大学大学院医歯総合研究科皮膚・粘膜・結合織学 13愛媛大学医学部皮膚科学教室 14長崎大学医学部神経感覚医学(皮膚科学)

ページ範囲:P.312 - P.317

文献概要

ヨーロッパ,アメリカ,アジアのアトピー性皮膚炎治療のスペシャリスト7名にインタビューおよびアンケート調査を行い,アトピー性皮膚炎治療に対する考え方や各国の医療事情を探った.それぞれの医師の置かれている状況により,1日に診察する患者数や診察時間には違いがあったが,患者の診察になるべく時間をかけて治療方針や薬剤の詳しい説明をするべきとの認識は共通しており,それぞれの工夫がみられた.アトピー性皮膚炎治療において,ステロイド外用薬および保湿薬はほぼ全員が重要視しており,またタクロリムス軟膏やメンタルケアの重要度が高いとする医師が半数以上であった.ステロイド外用薬の重症度別の処方については,医師による違いがみられた.また日本で問題になっているステロイド拒否は調査各国でも存在し,その理由は全員が「副作用に対する誤解」であると考えていた.抗ヒスタミン薬を使用する患者の割合は医師により大きな開きがあり,また使用目的は半数以上が止痒作用であると回答したが,抗炎症作用や鎮静作用を期待した使用も行われていた.代替療法についてはさまざまな方法が各国で行われており,患者が代替療法に向かう理由として,患者と医師の信頼関係が築かれていない,ステロイド外用薬への理由のない恐れなどを挙げていた.新しい療法については,免疫抑制薬内服や免疫抑制薬外用に期待するとの回答が多かった.以上により一部ではあるが,海外のスペシャリストの治療方針や各国の医療事情が見えてきた.抗ヒスタミン薬や保湿薬の評価は若干の差があるが,今後もEBMに則ったデータに基づき使用法を考えていくべきである.世界のスペシャリストの治療方針と近似していることから,われわれの行ってきた「アトピー性皮膚炎ガイドライン」に沿った治療が正しい方向に進んでいることを確信したが,医師と患者とのさらなる信頼関係を築くために,世界のスペシャリストのさまざまな試みも今後参考にすべきと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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