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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科58巻5号

2004年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス2004 Clinical Dermatology 2004 1.最近話題の皮膚疾患

格闘技競技者に流行しているTrichophyton tonsurans感染症

著者: 望月隆1 河崎昌子1 田邊洋1 石崎宏1

所属機関: 1金沢医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.15 - P.19

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近年,高等学校柔道部員やレスリング部員など,格闘技競技者の間に多発しているTrichophyton tonsurans感染症について解説した.本菌による体部白癬は顔,耳,項頸部,肩,腕など,スポーツ活動中に小外傷を受けやすい部位に好発する.指頭大から鶏卵大までの鱗屑を付ける環状の紅斑が単発あるいは散在するが,中心治癒傾向がなく,湿疹様,あるいはバラ色粃糠疹様で白癬を疑いにくい例もある.頭部白癬はblack dot ringwormが多いが,症状のない無症候性キャリアも多く存在し,これらがともに感染源になると推察される.また頭部白癬と体部白癬はしばしば合併する.治療は,体部白癬は抗真菌薬の外用,頭部白癬は内服が有効で,短期間で症状は消失するが,再発例が多い.現在流行している菌株は従来わが国で散発的に分離されていた菌株と異なるクローンであることが分子生物学的に明らかになった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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