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特集 最近のトピックス2004 Clinical Dermatology 2004 2.皮膚疾患の病態
水痘再感染
著者: 木花光1
所属機関: 1済生会横浜市南部病院皮膚科
ページ範囲:P.44 - P.47
文献購入ページに移動近年,高齢者の水痘の報告が散見されるが,ほとんどは再感染と考えられている.悪性腫瘍,感染症,自己免疫疾患,糖尿病などの基礎疾患を有する例がほとんどであるが,基礎疾患のない例もある.高齢で,しかも基礎疾患を有するにもかかわらず,20~30歳台の成人水痘に比べて発熱などの全身症状が軽度なことが特徴的である.皮疹の数も少ないが,皮疹の新生が続き治癒が遷延することはある.水痘再感染と汎発性帯状疱疹との鑑別は,帯状の皮疹部が明瞭であれば容易であるが,不明瞭な場合は困難となろう.水痘再感染では早期より血中抗体価が高値であるのも鑑別点になりうる.水痘の終生免疫が維持されるためには,不顕性再感染を繰り返すことが必要とされてきている.少子化,核家族化により不顕性再感染の機会が減少しており,さらに長寿化も急速に進行しているので,今後高齢者の水痘再感染の増加が予想される.
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