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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科58巻5号

2004年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス2004 Clinical Dermatology 2004 2.皮膚疾患の病態

毛周期の制御分子

著者: 板見智1

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科分子病態医学専攻皮膚科学講座

ページ範囲:P.49 - P.53

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毛器官は生涯にわたり毛周期と呼ばれる再生と退縮のプロセスを繰り返す生体唯一の組織である.この毛周期は上皮系毛細胞と毛乳頭細胞の相互作用により進行する.近年,主に遺伝子改変マウスの表現型から,胎生期における四肢や歯牙形成にかかわる数多くの細胞増殖因子や転写因子が,毛器官の発生と再生にも重要な役割を果たすことが明らかになってきた.一般的には胎生期の組織形成にかかわる分子が組織再生にもかかわると考えられているが例外も多く,例えば男性ホルモンレセプター,ビタミンDレセプター,STAT3やHairlessなどの転写因子の欠失は,毛器官形成には異常を生じないが毛周期の進行に異常をきたす.毛周期にかかわるシグナル伝達機構が明らかにされてきたことで,成長期と休止期誘導という全く逆の作用を有する男性ホルモンの作用機序も一部は解明された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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