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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科58巻5号

2004年04月発行

文献概要

Derm. 2004

診察室での携帯電話

著者: 川内康弘1

所属機関: 1筑波大学大学院人間総合科学研究科皮膚病態医学分野

ページ範囲:P.19 - P.19

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この頃はずいぶん携帯電話の普及率が上がってきているようで,街に出るとあちこち携帯電話で話している,またはメールを打っている人たちを見かける.病院・診療所内でもまたしかり,であり,待合室のみならず診察中に患者さんの携帯電話の着メロが鳴り響くことは日常的風景となりつつある.経験的には,男性よりも女性の携帯電話が鳴ることのほうが多いような気がする.大部分の人は,「今取り込み中で,後でかけ直す.」とすぐに電話を切ってくれるが,なかには平然と長電話を始める人もいて,やはり世の中いろんな人がいるものだ,とかえって感心してしまう始末である.多くの病院では,携帯電話が医療機器に影響を与えるという理由で見舞客には携帯電話のスイッチを切るよう要請しているが,外来患者に対しては携帯電話の使用を制限しているところは少ないようである.一方,私が勤務している大学病院では3年ほど前から,医師の呼び出しをそれまでの院内ポケベルから院内PHSに切り替えている.PHSはポケベルに比べると,電話のある場所まで行かなくても好きなときに電話がかけられるというメリットがある反面,かかってきた電話にはその場で出なくてはならないというメリットともデメリットともつかない面がある.視点を医療者から患者さん側に変えてみると,医師である私自身も診察中にPHSにかかってきた電話に出てしまい,診察を何度となく中断していることを思い返す.もちろん,この場合は現在患者診察中であることを相手に告げて,なるべく早くPHSを切るようにはしているが…….このように携帯電話の使用に関してはお互い様ということもあり,また,個人的には,日本では公共の場所での携帯電話使用より,公共の場所での喫煙を早く全面禁止にして欲しいとも考えており,診察室で患者さんの携帯電話が鳴り出すことにことさら目くじらを立てるつもりはない.ニキビで受診した高校生の着メロ(最近では「着うた」が流行りだとか)を聞いて,知っている曲だとまだ自分も世の中の動きについていけているかな,とふと安心したりもできるし…….(〒305-8575 つくば市天王台1-1-1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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