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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科58巻6号

2004年05月発行

今月の症例

クワシオルコール様症候群の1例

著者: 上中智香子1 廣井彰久1 上出康二1 古川福実1 川口雅功2

所属機関: 1和歌山県立医科大学医学部皮膚科学教室 2済生会和歌山病院内科

ページ範囲:P.411 - P.413

文献概要

51歳,男性.肝硬変および初期胃癌で胃部分切除術の既往あり.初診の40日前から食思不振および下腹部,大腿,腰部の皮膚症状や粘膜症状の出現のため受診した.初診時の皮膚臨床所見は,側腹部,腰臀部,大腿内側に赤褐色丘疹が集簇,一部融合し落屑を伴っていた.背部は皮脂欠乏性皮膚炎様,口角,肛囲,眼角,亀頭粘膜にびらんを伴う紅斑,下腿は著明な浮腫を示し,頭髪は粗であった.生検では表皮壊死像を認めた.血液検査では著明な低蛋白血症と貧血,各種ビタミン,亜鉛の低値,必須アミノ酸の著しい低下が認められたが,糖尿病はなくグルカゴン値は正常であった.また,腹部CTでは膵臓に異常は認めなかった.以上より本症をクワシオルコール様症候群と診断した.その後経口高カロリー栄養食で皮疹は悪化するも中心静脈栄養で皮疹は急速に改善し,小腸透視では内ヘルニアを認め,小腸の内容停滞不良による蛋白吸収不全が原因と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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