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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科58巻7号

2004年06月発行

文献概要

症例報告

鼠径リンパ節転移で診断された無色素性黒色腫の1例

著者: 幸田公人1 高木祐子1 石地尚興1 上出良一1 新村眞人1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.579 - P.582

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78歳,男性.近医で右鼠径部の皮下腫瘤を切除したところ悪性黒色腫の転移が疑われ当科を受診した.初診時,右足底に紅色結節と右下腿に多発する皮下結節がみられた.右足底の紅色結節を悪性黒色腫の原発巣,右下腿の皮下結節をin transit転移と考えて切除し,併せて右鼠径リンパ節郭清を行った.病理組織学的には右足底の紅色結節の腫瘍細胞の主体は紡錘形細胞でメラニン顆粒を認めなかった.抗HMB-45抗体染色はごく一部の腫瘍細胞のみに陽性であった.右下腿の皮下結節の腫瘍細胞はメラニン顆粒を有し,抗HMB-45抗体染色陽性であった.右鼠径リンパ節には転移を認めた.以上より,右足底の紅色結節が原発の無色素性黒色腫(pT4,N2b,M0:病期ほう)と診断した.フェロン-DAV療法を10クール施行したが術後1年で新たに右下腿にin transit転移を生じ,3年目に多臓器不全で死亡した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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