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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科59巻1号

2005年01月発行

文献概要

症例報告

血中PTHrP,G-CSF高値により高Ca血症,白血球増多を生じた臀部熱傷瘢痕癌

著者: 吉田寿斗志1 福地修1 幸田公人1 石地尚興1 上出良一1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.81 - P.83

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要約 55歳,男性.2歳時,両臀部,右大腿部に熱傷を受けた.2001年2月頃,右大転子部に悪臭を伴う腫瘤が出現し,2001年4月16日当科受診した.腫瘍切除,右鼠径リンパ節郭清術施行.リンパ節17個中2個に転移がみられた.術後化学療法を施行したが,2002年8月に後腹膜と左鼠径リンパ節に新たに転移を認め,放射線療法を追加した.以後外来で経過観察していたが,2003年1月6日,意識混濁で救急搬送された.来院時,補正Ca値15.6mg/dlより高Ca血症による意識障害と考えた.また,白血球数が54,600/μlと高値を示し,その後,最高116,700/μlまで増加した.血中PTHrP6.9pmol/l,G-CSF490pg/mlとともに高値であり,PTHrP,G-CSF産生腫瘍が疑われた.悪性腫瘍がPTHrPやG-CSFを産生して高Ca血症,白血球増多をきたすことは稀であるものの,扁平上皮癌に合併することが多く,有棘細胞癌の経過観察中は念頭に置く必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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