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症例報告
リンパ球腫を思わせたサルコイドーシスの1例―超音波診断による鑑別を含めて
著者: 成田千佐子1 金沢博龍1 石橋睦子1 林伸和1 川島眞1
所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室
ページ範囲:P.978 - P.981
文献購入ページに移動66歳,女性.約1年前に出現した右鼻翼外側のドーム状に隆起する紅色結節を主訴に来院した.リンパ球腫を疑い皮膚生検を施行したところ,組織学的に稠密な類上皮細胞性肉芽腫と肉芽腫周囲のリンパ球浸潤を認めた.ACE,リゾチームの高値とBHLがありサルコイドーシスと診断した.過去に当科で経験したサルコイドーシスの皮膚エコー像は,低エコー領域が巣状に分布し,内部エコーはさざ波状であり,低エコー領域は肉芽腫に一致していた.一方,過去の経験例の典型例なリンパ球腫では,濾胞様構造を示す稠密な細胞浸潤巣に一致した低エコー領域を認めるが,さざ波状の内部エコーは認めなかった.本症例では組織内の高い細胞密度を反映し,リンパ球腫と類似し結節部に一致した低エコー領域がみられたが,その内部エコーはサルコイドーシスを思わせるさざ波状であった.超音波検査は,腫瘍性病変のみならず,炎症性,肉芽腫性疾患においても,診断の一助となる.
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