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症例報告
口腔粘膜病変を伴った肉芽腫性口唇炎の1例
著者: 市川尚子1 和泉達也1
所属機関: 1練馬総合病院皮膚科
ページ範囲:P.994 - P.996
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29歳,女性.1年前より下口唇に持続性腫脹が出現し,下口唇内側の粘膜に白色顆粒状病変と線状の潰瘍を伴っていた.組織学的には基底層直下に帯状の細胞浸潤,粘膜固有層深部に島嶼状細胞塊を認め,これらは非乾酪性肉芽腫を形成しており,肉芽腫性口唇炎と診断した.皺襞舌,顔面麻痺,Crohn病を示唆する所見は認めず,サルコイドーシスの診断基準も満たさなかった.プレドニゾロン10mg/日およびトラニラスト300mg/日内服の併用にて,口唇の腫脹および粘膜疹は改善した.基底層直下の稠密な細胞浸潤が,本症例の非定型的な扁平苔癬様粘膜疹を形成したと考えられた.肉芽腫性口唇炎は現在,複数の病態を包括した病名となっており,病因に基づいた疾患概念の整理が望まれる.
29歳,女性.1年前より下口唇に持続性腫脹が出現し,下口唇内側の粘膜に白色顆粒状病変と線状の潰瘍を伴っていた.組織学的には基底層直下に帯状の細胞浸潤,粘膜固有層深部に島嶼状細胞塊を認め,これらは非乾酪性肉芽腫を形成しており,肉芽腫性口唇炎と診断した.皺襞舌,顔面麻痺,Crohn病を示唆する所見は認めず,サルコイドーシスの診断基準も満たさなかった.プレドニゾロン10mg/日およびトラニラスト300mg/日内服の併用にて,口唇の腫脹および粘膜疹は改善した.基底層直下の稠密な細胞浸潤が,本症例の非定型的な扁平苔癬様粘膜疹を形成したと考えられた.肉芽腫性口唇炎は現在,複数の病態を包括した病名となっており,病因に基づいた疾患概念の整理が望まれる.
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