文献詳細
症例報告
EBウイルス感染が関与したと考えられる末梢血NK細胞増殖症を伴う皮膚悪性リンパ腫の1例
著者: 小原進1 信藤肇1 秀道広1
所属機関: 1広島大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学教室
ページ範囲:P.1024 - P.1027
文献概要
25歳,男性.左足背部に,小指頭大の水疱を形成した後,潰瘍化し瘢痕治癒する経過を繰り返していた.摘出組織像では,真皮内から皮下脂肪組織に血管周囲性あるいは,間質内に集簇性に異型リンパ球の浸潤を認め,UCHL-1陽性,L26陰性で,T細胞系の悪性リンパ腫と診断した.浸潤している多くの細胞はEBER陽性であった.血液検査では,CD56陽性細胞の増加を認め,抗EBV VCA IgG抗体が320倍,抗EBNA抗体が10倍未満であった.末梢血EBV DNA定量では,末梢単核球DNA1μgあたり1.8×105コピーと著明な増加を示し,サザンブロット法によるEBV terminal repeat検索ではEBVのモノクローナルな増殖を認めたことにより,EBVの感染が末梢血中のCD56陽性細胞の増殖に関与したと考えられた.瘢痕部を拡大切除し約1年半後の現在,再発を認めない.
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