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症例報告
高齢者に発症した抗p200類天疱瘡の1例
著者: 越後岳士1 大石直人1 白崎文朗1 稲沖真1 佐藤伸一1 竹原和彦1 長谷川洋一2 橋本隆3
所属機関: 1金沢大学大学院医学系研究科血管分子科学講座皮膚科学 2公立加賀中央病院皮膚科 3久留米大学医学部皮膚科
ページ範囲:P.1076 - P.1079
文献購入ページに移動89歳,男性.乾癬の既往はなし.初診2週間前より両眼の充血が出現し,次いで全身に水疱を伴った紅斑が出現してきたため,水疱性類天疱瘡を疑われ入院した.全身に緊満性の小水疱や痂皮を付着した紅斑を認め,一部には辺縁に小水疱が配列した環状紅斑もみられた.粘膜疹はなし.病理組織像は表皮下水疱で,水疱内やその周囲には好酸球・好中球が浸潤していた.蛍光抗体直接法では,表皮真皮境界部にIgG,C3の線状沈着がみられた.間接法では抗表皮基底膜部抗体が陽性であり,split-skinでは剥離皮膚真皮側と反応した.ウエスタンブロット法では,患者血清は200kDの真皮抽出蛋白と反応した.ELISA法では,抗BP180/NC16a抗体は陰性であった.以上より,抗p200類天疱瘡と診断し,高齢のため全身的な免疫抑制療法を行わず,塩酸ミノサイクリン・ニコチン酸アミドとコルヒチンの内服およびステロイド外用療法にて軽快した.
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