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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科59巻11号

2005年10月発行

文献概要

症例報告

ポリクローナル高γグロブリン血症と胸腹部大動脈瘤を合併したnecrobiotic xanthogranuloma

著者: 足立厚子1 皿山泰子1 清水秀樹1 安田大成2

所属機関: 1兵庫県立加古川病院皮膚科 2兵庫県立加古川病院病理

ページ範囲:P.1094 - P.1097

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要約

 72歳,男性.腹部大動脈瘤術後2か月間,不明熱,汎血球減少,低アルブミン血症,CRPおよび血沈の上昇が続いた.同時期より後頭部に多発性紫紅色結節が出現し,同部の病理組織像で真皮全層の腫大した内皮細胞よりなる血管周囲に形質細胞の結節状の密な浸潤をみた.側胸部に無症候性で鶏卵大の皮下腫瘤があり,その病理組織は多数の泡沫細胞,Touton型巨細胞,類壊死を伴う柵状組織球性黄色肉芽腫を示し,necrobiotic xanthogranuloma(NXG)と診断した.血清γグロブリン,血清IgG,IgA,IgM,リウマチ因子,血清IL-6の著増,血清補体価の著減をみた.ポリクローナル高γグロブリン血症に伴ったNXGと診断し,MP療法で全身状態・検査所見の改善,皮疹の消失をみた.しかし,手術未施行であった胸部大動脈瘤の破裂にて永眠した.NXGでは病変が心臓などの諸臓器に及ぶことがあり,自験例の広範な胸腹部大動脈瘤も同一の病態から生じていた可能性が高いと考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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