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症例報告
Arthroderma vanbreuseghemii型の分子型を示したTrichophyton mentagrophytesによる体部白癬の姉妹例
著者: 藤田繁1 望月隆2
所属機関: 1藤田皮膚科クリニック 2金沢医科大学環境皮膚科学教室
ページ範囲:P.1158 - P.1160
文献購入ページに移動症例1:10歳,女児.3か月前より,頸から胸に,鱗屑を伴う紅斑が出現した.一部は境界明瞭で,毛孔一致性の紅色丘疹も認められた.症例2:4歳,女児,症例1の妹.姉と同時期から左大腿後面に,境界明瞭な鱗屑を伴う紅斑が出現した.飼い猫に脱毛斑があった.2症例ともに鱗屑の直接鏡検陽性で,症例1では標本内に混入していた生毛に小型胞子の毛外性寄生がみられた.2症例ともに発育の早い,中央が結節状に隆起する,白色粉末状の菌が分離され,スライド培養でブドウ状に配列する球状小分生子とラセン器官が認められたためTrichophyton mentagrophytesと同定した.ITS領域のrDNAのPCR-RFLPはArthroderma vanbreuseghemiiに一致し,抗真菌薬の外用で治癒した.今後,動物に由来するA. vanbreuseghemiiによる白癬の増加に注意する必要があり,その同定にはITS領域のrDNAのPCR-RFLPなどのDNA診断が有用であると考えられた.
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