文献詳細
文献概要
症例報告
悪性リンパ腫加療後に瘢痕浸潤の形で皮膚サルコイド反応を生じた1例
著者: 北村英夫1 中島康爾1 野村和夫1
所属機関: 1青森県立中央病院皮膚科
ページ範囲:P.1192 - P.1194
文献購入ページに移動45歳,男性.初診1年半前より非Hodgkinリンパ腫にて化学療法を施行したが,症状の改善はみられなかった.10か月前,同種末梢血幹細胞移植を施行し,生着は良好であった.当科初診の1か月前より,幼少時の転倒時の右膝瘢痕部に紅斑が出現した.徐々に拡大し,隆起してきたため,2002年12月に初診した.生検にて乾酪壊死を伴わない,巨細胞を混じる類上皮細胞肉芽腫がみられ,その中に貪食された異物を認めた.両側肺門リンパ節腫脹は認めず,眼科所見に異常はなく,血清ACE,リゾチームも正常範囲内であった.以上より,自験例は真のサルコイドーシスではなく,悪性リンパ腫に伴うサルコイド反応と診断した.自験例は,化学療法や同種末梢血幹細胞移植施行によりT細胞が機能低下し,それによる免疫抑制によりサルコイド反応を引き起こしたものと思われた.
北村英夫,他:臨皮59:1192-1194,2005
掲載誌情報