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原著
報告例からみた深在性エリテマトーデス―病型分類と治療法の検討
著者: 松田聡子1 橋本夏2 松本聡子2 佐々木祥人2 堀啓一郎2
所属機関: 1神戸大学大学院医学系研究科応用分子医学講座皮膚科学分野 2国立病院機構神戸医療センター皮膚科
ページ範囲:P.1255 - P.1260
文献購入ページに移動53歳,女性.約20年前より,上腕に皮下結節が出現した.徐々に増加し陥凹をきたすようになった.顔面,大腿,下腹部にも出現したため,当科を受診した.陥凹部に一致し,皮下硬結を認めた.病理組織像上,広汎な石灰化と,それに連続して脂肪織の膜囊胞性病変,血管周囲性に著明なリンパ球を主体とした炎症細胞の浸潤がみられた.また,蛍光顕微鏡下で,膜囊胞性病変部に自家蛍光を示すリポフスチンが沈着していた.初診4か月後に大腿に浸潤および陥凹が増加したため,プレドニン(R)30mg/日の内服を開始した.以後,漸減し15mg/日で加療中である.過去13年間(1991~2003年)の文献報告全57症例を,病勢の評価の仕方として土田らの提案するLEの病型分類に基づきまとめたところ,予後および必要とされた治療に差異を認め,分類は治療戦略を立てるにあたり有用であると考えられた.また,リポフスチンの組織学的意義を検討した.
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