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症例報告
乳癌,本態性血小板血症を伴い高齢者に発症した抗リン脂質抗体症候群の1例
著者: 安芸実扶子1 石黒直子1 川島眞1
所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室
ページ範囲:P.1280 - P.1283
文献購入ページに移動80歳,女性.2003年3月頃より,左Ⅳ,Ⅴ趾の暗紫紅色斑が出現しては軽快するというエピソードを繰り返した.徐々に色調が変わる頻度が増し,2004年2月上旬に左Ⅰ趾尖に切創を負った後に潰瘍を生じ,難治であったため当科に入院した.入院時,左Ⅰ趾尖に径10mmの黒褐色痂皮を付着した潰瘍を認め,周囲はやや暗紫紅色調を呈していた.右Ⅳ,Ⅴ趾には暗紫紅色斑を認めた.右Ⅴ趾の暗紫紅色斑の病理組織像では,真皮上・中層の毛細血管に血栓像を認め,脳MRIにて多発性脳梗塞像,APTT,PTの延長,βトロンボグロブリン,血小板第4因子,D-ダイマーの上昇,抗カルジオリピンIgG抗体高値であり,抗リン脂質抗体症候群と診断した.アルプロスタジル10μg/日の点滴とワルファリンカリウム0.5mg/日の内服で症状は軽快した.2004年6月に左乳房の乳癌,同時期に骨髄生検で本態性血小板血症と診断され,これらが抗リン脂質抗体の産生に関与した可能性も考えた.
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