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症例報告
ADH分泌異常症候群と脳炎を合併したdrug-induced hypersensitivity syndromeの1例
著者: 佐久間恵一1 福田知雄1 狩野葉子1 塩原哲夫1 伊東貴雄2 作田学2
所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室 2杏林大学医学部神経内科
ページ範囲:P.1302 - P.1305
文献購入ページに移動67歳,男性.2003年7月26日より,てんかん予防のためフェノバルビタール内服を開始し,3週間後より皮疹が出現した.その後,38℃以上の発熱と,顔面を含むほぼ全身の紅斑,異型リンパ球の出現を伴う白血球増多,肝障害,HHV-6 IgG抗体価の著明な上昇を認め,drug-induced hypersensitivity syndrome (DIHS)と診断した,ステロイドの全身投与に加えγグロブリンを投与した.発症より約3週間後に血清Na値の極度の低下を認め,さらに意識障害が出現した.検査所見の推移を詳細に検討した結果,低Na血症はsyndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone (SIADH)に起因し,意識障害は辺縁系脳炎に起因すると診断した.DIHSの臓器障害として脳炎は以前より報告されているが,SIADH,辺縁系脳炎もその1つとして認識しておく必要があると思われた.
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