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症例報告
組織学的に棘融解細胞を認め,天疱瘡を疑わせたMRSAによる頭部伝染性膿痂疹の難治例
著者: 横倉英人1 梅本尚可1 加倉井真樹1 平塚裕一郎1 東隆一1 林和2 出光俊郎1
所属機関: 1自治医科大学附属大宮医療センター皮膚科 2自治医科大学附属大宮医療センター臨床検査部
ページ範囲:P.1331 - P.1333
文献購入ページに移動68歳,男性.2週間前より頭部に難治性のびらんがあり,来院した.初診時,前頭部を中心に紅斑,びらんを認めた.伝染性膿痂疹を疑って,セフェム系抗生物質やホスホマイシンで内服治療を行ったが,皮疹は拡大した.組織学的には角層下水疱内に棘融解細胞,真皮には少数の好中球を混じる小円形細胞浸潤を認めた.臨床像,組織所見,および経過より天疱瘡を疑ったが,蛍光抗体法は陰性であった.細菌培養ではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が分離され,レボフロキサシン投与により,皮疹は治癒した.以上より,頭部に限局したMRSAによる伝染性膿痂疹と診断した.伝染性膿痂疹でも組織学的に好中球浸潤に乏しく,棘融解が主体のこともあり,難治例では天疱瘡と誤診する可能性もあるので注意が必要である.また,MRSAによる膿痂疹の増加している今日,各施設における薬剤感受性結果を踏まえた抗生物質の選択が必要である.
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