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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科59巻13号

2005年12月発行

文献概要

症例報告

ウサギから感染したArthroderma benhamiaeによる体部白癬の母子例

著者: 角谷廣幸1 角谷孝子1 望月隆2

所属機関: 1あいおい皮膚科クリニック 2金沢医科大学環境皮膚科学部門

ページ範囲:P.1334 - P.1337

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要約

 41歳,女性と11歳,男児.ペットのウサギから感染したArthroderma benhamiaeによる体部白癬の母子例である.ウサギを飼い始めてから女性の左前腕,男児の下顎部と背部に落屑性紅斑が生じた.左前腕と下顎部の皮疹は痒みがなく,同部の落屑のKOH法では菌要素が密集してみられた.それに対して背部の皮疹は貨幣状湿疹様を呈し,軽度の痒みを伴い,菌要素は少なかった.ウサギでは鼻囲に脱毛斑がみられ,皮疹のないウサギの胴体部からヘアブラシ法で白癬菌が分離された.母子,ウサギから分離された菌は3例ともスライドカルチャーでTrichophyton mentagrophytesと同定した.DNA分析ではPCR-RFLP法でArthroderma benhamiaeに一致する泳動パターンを呈し,交配試験では母親分離株がAmericano-European race(-)株と同定された.母子ともにウサギから感染したと考えた.Arthroderma benhamiae感染による白癬は,多彩な臨床症状を呈するので注意が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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