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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科59巻13号

2005年12月発行

文献概要

連載

アメリカで皮膚科医になって(6)―From Japan to America:American Life as a Physician-Scientist

著者: 藤田真由美1

所属機関: 1コロラド大学皮膚科

ページ範囲:P.1348 - P.1349

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喫煙歴(Smoking history)

 外来を始めてまもなくのころ,私はアメリカ人の同僚に,「いやー,今日の外来はホームレスの人が多かったね.それにしても,彼らはどこの草むらで寝起きをしているのだろう?」と言った.すると同僚は,「草むら?ホームレスの人はダウンタウンやビルの周りを拠点に生活しているよ.」ときょとんとしている.じゃあ,あの草のにおいは何??? そこで初めて,それがマリファナ(乾燥大麻)であることがわかった.

 アメリカでは,ご想像に違わず,薬物使用が多い.日本のようにニュースでしか知らない,などということは,アメリカ人にとっては逆に珍しいのである.強いものから弱いものまで,抑制性のものから興奮性のものまで,また投与方法もさまざまでいろいろな種類があるが,一般の人でも使っているので,アメリカの医師はこれらを知っていないといけない.国家試験でもよく出題され,頭を悩ませたものである.その中でもマリファナは,手軽な値段で買え(といってもタバコよりは高いが),見た目にもタバコとあまり変わらず,一時は多くの人がかっこいいといって吸っていたこともあり,一度も吸ったことがない人は逆に珍しいくらいだ.かの大統領も若いときに吸っていたということが話題になったが,話題になったといっても,大半のアメリカ人が一度は経験済みなので,それほど大きな問題にもならなかった.何しろ,現在も,大学生はもちろん中高生にまで出回っているのだから.ちなみに現在大学生の息子に聞いてみると,「薬物はアメリカの文化だよ.アメリカ映画を見ていると必ず出てくるから.これがないアメリカ映画はかえって現実味がない.それにマリファナは,アメリカ人にとってはタバコと同じようなものと認識されているよ.」と言う.えっ,映画のあのシーンは,このシーンはタバコを吸ってるのでしょ?と聞くと,息子は無知な私にタバコとマリファナの違いを説明したあと,アメリカの若者の薬物事情を丁寧に教えてくれた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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