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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科59巻2号

2005年02月発行

文献概要

今月の症例

鼻腔内より発症したムーコル症の1例

著者: 池澤優子13 掛水夏恵1 河野真純1 三谷直子1 山川有子1 佐々木哲雄1 原野浩2 中嶋弘4 高鳥浩介5 池澤善郎3

所属機関: 1横浜市立大学附属市民総合医療センター皮膚科 2横浜市立大学附属市民総合医療センター血液内科 3横浜市立大学医学部皮膚科学教室 4横浜市アレルギーセンター 5国立医薬品食品衛生研究所衛生微生物部

ページ範囲:P.124 - P.126

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要約

 65歳,女性.1998年11月より,多発性骨髄腫の診断にて当院血液内科で化学療法を定期的に施行されていた.2001年4月に原疾患による腎不全が進行し,再度化学療法を行うも改善なく,その後骨髄抑制状態となった.同年6月に鼻根部右側に疼痛を伴う淡い紅斑が出現.数日で紅斑は中心部に壊死を伴い拡大した.初診時の鼻腔内からの培養によりムーコル症と診断.後日スライドカルチャーを施行し,形態学的特徴からMucor属の一種であるActinomucor elegansと同定された.ムーコル症は皮膚科領域においては稀な疾患であるが,免疫低下状態にある患者に日和見感染症として合併することが多い.また,同疾患は短期間で急速に周囲組織に播種するため,初発時における鏡検,培養などによる早期診断が重要と考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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