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症例報告
皮膚原発有棘細胞癌と鑑別を要した口腔癌の臀部皮膚転移の1例
著者: 吉田寿斗志1 幸田公人1 石地尚興1 上出良一1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座
ページ範囲:P.183 - P.185
文献購入ページに移動49歳,男性.3年前,口腔癌(T4N2bM0;ⅣA)にて他医で腫瘍切除術,両側頸部リンパ節郭清術,化学療法を受け,局所再発はみられていない.半年前より左臀部に腫瘤が出現し,急激に増大したため当科を受診した.腫瘍の辺縁より2cm離し筋層を厚さ約1cm含んで切除した.腫瘤表面はびらん性のため,表皮との連続性は不明であった.口腔癌と病理組織像を比較すると両者は類似しており,有棘細胞の分化を主体とした太い索状の増殖を示していた.臀部には有棘細胞癌の発生母地となる基礎疾患はなかった.縦隔と仙骨に転移を認めたが,鼠径リンパ節,肺や肝に転移を認めなかった.以上より,左臀部腫瘤は口腔癌の血行性転移と考えた.口腔癌の転移先として皮膚は第5位(15.1%)であるが,顔面,頸部に出現することが一般的で,われわれが調べ得た限りでは,それら以外の皮膚へ転移が生じた報告は見当たらず,本症例は稀な部位への転移と考えた.
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