文献詳細
今月の症例
女性のタール作業従事者に生じた多発性皮膚癌の1例
著者: 濱田学1 三苫千景1 竹内史子1 古江増隆1
所属機関: 1九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野
ページ範囲:P.230 - P.233
文献概要
85歳,女性.55年前から約30年間ケーブル加工業に従事していた.左前腕の受傷後に腫瘤が出現し,皮膚生検より有棘細胞癌と診断した.さらに右前腕,右鼻根部にも有棘細胞癌がみられ,このほか四肢の露出部には色素斑や角化性局面が多発していた.今回の多発性皮膚癌の発症には日光曝露に加えて,多年にわたる職業性のタール曝露の関与が疑われた.慢性タール皮膚症から生じた皮膚悪性腫瘍の本邦報告例は7例あり,有棘細胞癌が多く,すべて男性である.
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