文献詳細
症例報告
悪性化した巨大尖圭コンジローマの1例
著者: 福本大輔1 藤井由美子1 荒瀬誠治1 橋本一郎2 佐々木賢二3 江川清文4
所属機関: 1徳島大学医学部皮膚科 2徳島大学医学部形成外科 3徳島大学医学部第一外科 4熊本大学医学部皮膚科
ページ範囲:P.290 - P.293
文献概要
46歳,男性.30歳時,肛門周囲に茶褐色の母指頭大結節を生じ当科を受診した.尖圭コンジローマの診断の下,約3年間ブレオマイシン局注,5-FU軟膏,冷凍凝固療法などで治療したが,ほとんど効果はなく,その後は放置していた.13年後の再診時,肛門を中心に21×9cmのカリフラワー状腫瘤がみられ,一部では潰瘍・びらんを生じていた.また陰茎にも小指頭大までの硬い疣状結節が多数あった.組織学的には,多くの部分で典型的な尖圭コンジローマの所見であったが,一部では細胞異型を認めた.HPV6陽性.悪性化した巨大尖圭コンジローマと診断した.外科的切除,インターフェロン療法,CO2レーザー,液体窒素凍結療法を併用し略治に至った.治療抵抗性の尖圭コンジローマに対して,巨大化,悪性化を考え,十分な経過観察と積極的な治療の検討が必要と思われる.
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