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今月の症例
クリオグロブリン血症を伴う多発性骨髄腫にみられた顔面の毛包性小突起と四肢の多発性小潰瘍の1例
著者: 太田智秋1 古田一朗2
所属機関: 1新宮市立医療センター皮膚科 2新宮市立医療センター内科
ページ範囲:P.354 - P.357
文献購入ページに移動82歳,男性.顔面,四肢に発生した毛包性小突起と多発性小潰瘍を合併するIgG-κ型多発性骨髄腫stageⅢと診断され,クリオグロブリン血症を伴っていた.組織学的に,顔面の皮疹は毛包開口部に一致し,表皮上層から顆粒層,さらに角層にかけて,細胞間隙に好酸性物質の沈着を多量に認めた.角層は錯角化を伴い,好酸性物質の沈着と相俟って見かけ上著しく肥厚していた.四肢の皮疹にも同様の好酸性物質の沈着が認められ,免疫組織化学的にこの好酸性物質はIgGとκ鎖に陽性を示し,患者血清中の異常蛋白と同一の物質と考えられた.本症は多発性骨髄腫のまれな皮膚症状として知っておくべき重要なデルマドロームである.
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