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症例報告
薬剤が原因と考えたbullous lichen planusの1例
著者: 山本亜偉策1 保坂浩臣1 末木博彦1 飯島正文1 王鋳軍2
所属機関: 1昭和大学医学部皮膚科学教室 2八雲クリニック
ページ範囲:P.362 - P.365
文献購入ページに移動82歳,女性.高血圧症のため10年来降圧剤を含む7剤を内服中.3か月前より両大腿に皮疹が出現し,軀幹,四肢に拡大した.軀幹・四肢に拇指頭大までの痂皮を付着する淡紅褐色紅斑および丘疹が多発し,一部に小水疱を伴っていた.末梢血で軽度好酸球増多がみられた.自己免疫性水疱症を疑い生検した.組織所見では苔癬型組織反応の部位に一致して表皮下水疱が認められた.免疫蛍光抗体直接法で真皮表皮境界部にIgMが線状に沈着していたが,間接法は陰性であった.免疫ブロット法では180kD,230kDBP抗原との反応はともに陰性であった.以上よりbullous lichen planusと診断した.薬剤によるものを疑い,内服中の薬剤を中止・変更し,ステロイド外用により約1か月で色素沈着を残し軽快した.貼布試験,DLSTは陰性であった.
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