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症例報告
中毒性表皮壊死症を疑ったtoxic shock syndromeの1例
著者: 三上正史1 杉山美紀子1 西尾和倫1 末木博彦1 飯島正文1
所属機関: 1昭和大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.378 - P.381
文献購入ページに移動38歳,男性.臀部脂肪腫の手術目的で近医外科に入院中.術後第7病日より突然の発熱,嘔吐,下痢とともに軀幹・四肢に紅斑が出現.薬疹を疑われ,ヒドロコルチゾン(ソル・コーテフ (R))1,000mg/日を投与されたが,第9病日にショック症状が出現.第11病日の深夜,家族の強い希望により当院に転院.搬送時,軀幹・四肢にびまん性紅斑,大腿部に大豆大までの水疱が多発集簇.当初びまん性紅斑型中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN)を疑ったが,生検後に臀部術創の感染および離開に気づき,toxic shock syndrome(TSS)を考えた.組織所見では表皮下水疱を形成しており,表皮内および真皮浅層の好中球主体の細胞浸潤を認めた.臀部術創部から培養された黄色ブドウ球菌は,toxic shock syndrome toxin-1 (TSST-1)産生株であった.血清のスーパー抗原IgG抗体価はstaphylococcal enterotoxin B (SEB)のみ有意な上昇が認められた.
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