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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科59巻5号

2005年04月発行

特集 最近のトピックス2005 Clinical Dermatology 2005

1. 最近話題の皮膚疾患

TS-1(R)による薬疹

著者: 矢田佳子1 神田憲子1 檜垣祐子1 川島眞1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.10 - P.13

文献概要

要約

 テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(以下TS-1 (R))による薬疹の2例を経験した.症例1は肝細胞癌の肺転移に対しTS-1 (R)を開始12日後(総量1,560mg)に,足趾に紅斑,水疱が出現し,手指にも拡大した.病理組織像では,表皮真皮境界部の裂隙,表皮の液状変性と真皮乳頭層の浮腫,真皮浅層のリンパ球浸潤を認めた.症例2は再発性胃癌に対しTS-1 (R)を開始17日後(総量1,300mg)に,足趾に紅斑と鱗屑,水疱が出現した.両者とも,内服中止後約2週間で鱗屑と色素沈着を残して略治した.その後,症例1ではテガフール・ウラシル,症例2ではドキシフルリジンを開始したが,皮疹は生じなかった.発症機序として基底細胞への直接障害が考えられた.本剤の登場により,減少していたテガフール(フトラフール)皮膚炎が再び増加する可能性がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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