文献詳細
特集 最近のトピックス2005 Clinical Dermatology 2005
1. 最近話題の皮膚疾患
文献概要
要約
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(以下TS-1 (R))による薬疹の2例を経験した.症例1は肝細胞癌の肺転移に対しTS-1 (R)を開始12日後(総量1,560mg)に,足趾に紅斑,水疱が出現し,手指にも拡大した.病理組織像では,表皮真皮境界部の裂隙,表皮の液状変性と真皮乳頭層の浮腫,真皮浅層のリンパ球浸潤を認めた.症例2は再発性胃癌に対しTS-1 (R)を開始17日後(総量1,300mg)に,足趾に紅斑と鱗屑,水疱が出現した.両者とも,内服中止後約2週間で鱗屑と色素沈着を残して略治した.その後,症例1ではテガフール・ウラシル,症例2ではドキシフルリジンを開始したが,皮疹は生じなかった.発症機序として基底細胞への直接障害が考えられた.本剤の登場により,減少していたテガフール(フトラフール)皮膚炎が再び増加する可能性がある.
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(以下TS-1 (R))による薬疹の2例を経験した.症例1は肝細胞癌の肺転移に対しTS-1 (R)を開始12日後(総量1,560mg)に,足趾に紅斑,水疱が出現し,手指にも拡大した.病理組織像では,表皮真皮境界部の裂隙,表皮の液状変性と真皮乳頭層の浮腫,真皮浅層のリンパ球浸潤を認めた.症例2は再発性胃癌に対しTS-1 (R)を開始17日後(総量1,300mg)に,足趾に紅斑と鱗屑,水疱が出現した.両者とも,内服中止後約2週間で鱗屑と色素沈着を残して略治した.その後,症例1ではテガフール・ウラシル,症例2ではドキシフルリジンを開始したが,皮疹は生じなかった.発症機序として基底細胞への直接障害が考えられた.本剤の登場により,減少していたテガフール(フトラフール)皮膚炎が再び増加する可能性がある.
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